#潜在意識,”心の仕組み”,”人間関係"
前回、潜在意識に潜り込んだ不安が、暴力につながるお話をしました。
その状態から脱出する一つの方法、という中で、話を聴いてもらうというくだりがありました。
今、コロナウイルスの外出自粛が続く中で、密かに確実に進行したのが、家庭内不和でしょう。
誤解ないように言えば、家庭の結束が強まったという声が多いのです。
ですが、同時に家庭内不和が起こった例も少なくないと言います。
これは一体どうしてでしょう。
家庭というのは、それぞれ別の人格の集まっている形態です。
その別人格がずっと顔をあわせているのですから、それぞれの違いを目の当たりにします。
そうした中で、前回でてきたようなコミュニケーションがあるとします。
ある、ちょっとした不満を抱えている人が、聞いてほしい話を話すのです。
それを聴いてくれる人がいる。(はず)
もし、聴いてくれると思い込んでいた人が、自分の話を聴いてくれなければ、
「なんでこの人は聴いてくないんだ」となります。これはこれで、後々に問題を起こしていきますが(あらためて別の回でお話したいと思います)、話したいほうが話すだけ話して、それで終わると、それは潜在意識レベルで大きな問題を起こしていくことを忘れてはいけません。
話す方の多くは、もともと不安やなにか嫌な気持ちがあったことで、話したい状況となっていたことでしょう。
よく女性はただ聴いて欲しい生き物、などと称されることがありますが、これは男女を問いません。けっして話すことが悪いのではない。
話したい欲望、もっと言えば、誰かに話したいほどのイヤな気持ちは、潜在意識が出来事をイヤ、不快と分けるところから始まっています。
その区分にもとづいて、さらには経験にもとづいて感情が作り出されています。
話したところで、潜在意識の不快と分けた状態はかわらない。心(脳)は目先、一瞬の満足を得たように思いたいですが、実際にはなにもかわらない。潜在意識は”快”にはならないのです。
だから、また誰か別に聴いてくれる人が現れると話してしまう。
この繰り返しが起こります。
一方で深刻なのは、この話しを聴かされた方の潜在意識です。
聴く練習をし、テクニックを会得している人ならば別ですが、イヤな話を聴いているのですから、通常、潜在意識は”快”な状態にならず、得た情報からこの状況を”不快”にわけてしまうことが多いのです。
これがたとえば夫婦間で繰り返されると、よほどのことがない限り、聴かされているほうはだんだん気持ちが萎えてくる。ひどい場合は、話すことも、顔をみることもイヤになってくる。
これは聴かされた方の潜在意識が不快になっているから起こることです。
ですが、話したい方は、話して、自分を肯定してもらわないと、自分の心の中の不満やイヤな感情が消えません。
前回もお話したように、心の中の不満やイヤな感情を空っぽにしないと、潜在意識を好転させる気持ちになれません。
だから話せることはとても大事です。そういう環境もとても大事。
その上で、とても大事なことは、聴いてくれた人の潜在意識を思いやる、という意識です。
たとえば、こんな言葉はいかがでしょうか?
「聴いてくれて、本当にありがとう・・・、私、どうしたらいいかな、、、」
(もちろん、この言葉は真実であるべきです。言葉だけで、同じ繰り返しをするようであれば、事態はむしろ深刻になります。)
このように、聴いてくれた人の潜在意識を案じ、かつ信頼する言葉をつづければ、聴いてくれた人の潜在意識は、「自分がしたことがいいことであったこと」、「頼られたこと」、「もうこの状態から話し手が解放される希望を感じたこと」から、自らの存在を肯定でき、一瞬にして”快”に上書きされます。
本当の心(=脳のなかの潜在意識をつかさどる部分)は、刺激を”快”、と”不快”に分ける。
自分のみならず、相手もそうだということをイメージすることができれば、家庭内の人間関係はおおよそ幸せでいられるはずです。
By 天地人∞研究所 地の章